交通事故と後遺障害の保障
後遺障害の補償とは?
後遺障害とは、治療が終わっても完全な健康状態に戻らなくなり、体に具合の悪いところが残ることをいいます。医学的には後遺症と呼びます。
交通事故の示談交渉をするときに大切なことは、後遺障害のことを考えるということです。 そのためには、示談に簡単に応じることはしないで、示談書には後遺障害が後に生じた場合には別に金額を請求する趣旨の文言を入れておきましょう。
交通事故による後遺障害の場合の計算式
交通事故が原因で後遺障害となった場合、以下の計算式によって補償額を算出します。
交通事故に遭われた方の年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ(新ホフマン)係数
労働能力喪失率後遺障害によって労働能力が失われたのかを割合化したものになります。
後遺障害は後遺障害別等級表により、1級から14級までに分かれています。
(具体例)
被害者は22歳の独身男性会社員。 事故により傷害を負い、後遺症により労働能力が30%低下した。
- 年収300万円
- 労働能力喪失率30%
- 就労可能年数45年(67歳までを就労可能年数として67−22=45)
- 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
(17.774福利年金現価表)
以上の条件を元に計算をすると
300万円×0.30×17.774=1.599万6600円
となります。
自賠責保険の後遺障害等級認定手続きについて
認定手続きと診断書との違い
医師による後遺障害診断書と、後遺障害等級認定は全くの別物です。
診断書を元に調査をし、後遺障害等級が認定されます。
また、後遺障害診断書は通常の診断書と違い、自動車損害賠償保障法で決められた様式で作られます。
後遺障害の認定について、一般の医師は意外と詳しくない
自賠責保険の後遺障害等級認定手続きにおいて、医師が行う手続きは後遺障害診断書を書いたり、意見書を書いたりする事です。
ですが、実際に医師が後遺障害等級を決定するわけではありません。
病院等で医師から「認定されない」もしくは「このくらいの等級で認定される」
と言われても、実際には違うことが多々あります。ですが、医師の後遺障害診断書が無ければ申請することができず、認定もされません。
後遺障害等級を決定するのは誰?
自賠責保険会社は後遺障害等級の認定はしますが、認定に必要な調査は行いません。自賠責保険に関する調査は、損害保険料率算出機構(Non-Life Insurance Rating Organization・NLIRO)の自賠責損害調査事務所が行うことになっています。
請求書類に不備がなければ、書類は自賠責保険会社から調査事務所に送られます。調査事務所では後遺障害診断書について必要に応じて、被害者に対して、XP(レントゲン写真)やMRI・CT等の画像フィルムや写真の提出を求めた上で、それらの資料につき嘱託医の意見に基づき後遺障害等級が決定(認定)されます。
実際の決定はNLIROですが、等級の認定は自賠責保険会社となります。
後遺障害診断書を受け取ったらすぐに保険会社に郵送する?
後遺障害診断書を医師から受け取ったら、自賠責保険会社に請求することになります。ですが、ここですぐに郵送してはいけません。なぜならばこの診断書によって、後遺障害等級が決まると言っても過言ではないからです。
後遺障害等級が認定された後の示談交渉でも、後遺障害診断書が大変重要になります。保険会社との交渉の際にこちら側の主張を証明することができるからです。また、裁判になった場合でも重要な証拠となります。
もし、個人で示談交渉などを行っている場合でも、弁護士または、行政書士などの診断書の分かる専門家に見てもらう方がよいでしょう。
その際に、症状を十分に表していないと思われる場合には、再度医師にお願いして、書き加えていただく方がよいでしょう。
後遺障害診断書と医師について
後遺障害診断書を医師に作成してもらったり、加筆をしてもらう際に気をつけなければならないことがあります。それは、医師があまり協力的でない場合が多いことです。医療行為ではないのと、医師側からすれば治らなかった(完治しなかった)事について書類にしてもらうからです。
後遺障害診断書は、医師によっては丁寧に細部まで書かれることもあれば、簡潔に書かれる場合もあります。そのため、後遺障害診断書を受け取ってすぐに保険会社に渡してしまうと、診断書の書き方(内容)によっては障害なしと認定されてしまう場合があります。特に、将来的に症状が悪化する可能性が書かれているかどうかで、逸失利益の年数制限が変わることもあります。
お医者さんはいそがしい?
交通事故被害者にとって、後遺障害診断書は重要な書類です。しかし、医師から見れば治療ではなく、書類作成に忙しい時間を裂かなければならないのです。
診断書は作成依頼、つまりお願いして作ってもらいます。
こちら側からお願いする、という立場なので無理を言うわけにはいきません。かといって、作成してもらわなければ後遺障害認定が降りないですし、示談交渉にも必要です。
医師が忙しいことと、あまり興味を示さないことが多い事を理解した上でお願いしましょう。
